親の介護が始まると、「仕事を辞めたほうがいいのでは」と考えることがあります。
しかし、退職を決める前に、まず確認しておきたい制度や相談先があります。
介護休業や介護休暇、短時間勤務などを使いながら、介護サービスを組み合わせることで、仕事を続けられる場合もあります。
この記事では、親の介護で退職を考えたときに確認したいことを、順番に解説します。
親の介護ですぐに退職を決めないほうがいい理由
介護は、いつまで続くのか予測しにくいものです。
一度退職すると収入が減るだけでなく、その後の再就職や年金、生活費にも影響する可能性があります。
そのため、
- 今すぐ辞めなければならない状況なのか
- 会社の制度を使えないか
- 家族で分担できないか
- 介護サービスを増やせないか
を確認してから判断することが大切です。
厚生労働省も、介護休業について「介護に専念するための期間」ではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための期間として活用する考え方を示しています。厚生労働省
退職する前に確認したい5つのこと
1. 会社に介護の状況を伝える
まずは上司や人事担当者に、
「親の介護が必要になった」
と伝えましょう。
2025年4月以降、介護に直面したことを申し出た労働者に対して、事業主は介護休業や両立支援制度について個別に周知し、利用意向を確認することが義務化されています。厚生労働省
会社独自の制度が用意されている場合もあるため、就業規則も確認してみてください。
人事担当者には、自分の雇用形態と親の状態を伝え、制度ごとの利用条件や申出期限、必要書類、休業・休暇中の給与の扱いを確認しましょう。
希望する開始日や、急に休む可能性があることも伝えておくと安心です。
介護休業給付については、受給条件や支給額の目安、申請方法を人事担当者やハローワークに確認してください。給付率だけを見て、実際の手取り収入と同じと考えないようにしましょう。
2. 介護休業を使えないか確認する
介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得できます。厚生労働省
まとまった休みを取って、
- 要介護認定の申請
- ケアマネジャーとの相談
- デイサービスや訪問介護の調整
- 家族間の役割分担
- 今後の介護方針の整理
などを進める方法があります。
介護休業そのものを長期間の介護生活に充てるよりも、仕事を続けられる介護体制を作る期間として使うのがポイントです。厚生労働省
一定の要件を満たす雇用保険の被保険者には、原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%の介護休業給付が支給されます。厚生労働省
介護休暇も使える
数日だけ休みたいときは、介護休暇もあります。
対象家族が1人なら年間5日まで、2人以上なら年間10日まで取得でき、1日または時間単位で利用できます。厚生労働省
例えば、
- 親の通院に付き添う
- ケアマネジャーと面談する
- 要介護認定の手続きをする
- 急な体調不良に対応する
といった場面に使いやすい制度です。
短時間勤務や勤務時間の調整も確認する
仕事を完全に休まなくても、働き方を調整できる場合があります。
介護のための短時間勤務等の制度として、会社は一定の措置を設ける必要があります。制度の内容は勤務先によって異なるため、利用できる内容を人事担当者などに確認してください。厚生労働省
また、条件を満たせば、時間外労働や深夜業の制限などを利用できる場合もあります。厚生労働省
「フルタイムで続けるか、退職するか」の二択ではなく、
勤務時間を減らして続ける
という選択肢も考えてみましょう。
介護サービスを増やせないか確認する
仕事を辞める前に、現在の介護サービスで不足している部分がないか確認します。
例えば、
- デイサービスの日数を増やす
- 訪問介護を利用する
- ショートステイを利用する
- 福祉用具を導入する
- 配食や見守りサービスを使う
といった方法があります。
ケアマネジャーに、
「仕事を辞めずに介護を続けたい」
と伝えておくことも重要です。
介護サービスの組み合わせを見直すことで、家族の負担が軽くなることがあります。
家族だけで抱え込まない
介護を一人で引き受けている場合は、家族にも状況を共有しましょう。
話し合う内容としては、
- 通院の付き添い
- 買い物
- お金の管理
- 緊急時の連絡
- 休日の介護
- 施設探し
などがあります。
遠方に住んでいる家族でも、介護そのものではなく、
「施設を探す」
「電話で手続きする」
といった形で分担できることがあります。
仕事と介護を両立できるか確認する順番
退職を決める前に、次の順番で整理すると判断しやすくなります。
- 親の現在の状態を確認する
- 会社へ介護の状況を伝える
- 介護休業・介護休暇などの制度を確認する
- ケアマネジャーに介護サービスの見直しを相談する
- 家族で役割分担を話し合う
- それでも仕事の継続が難しいか考える
最初から退職を前提に考える必要はありません。
厚生労働省も、介護サービスと両立支援制度を組み合わせながら働き続けることを案内しています。厚生労働省
それでも仕事を続けるのが難しい場合
制度や介護サービスを使っても両立が難しい場合は、勤務形態の変更や転職も含めて考えることになります。
例えば、
- 日勤中心の仕事へ変える
- 残業の少ない職場へ転職する
- 短時間勤務を選ぶ
- 在宅勤務が可能な仕事を探す
といった方法です。
大切なのは、
「今の会社を辞める=仕事そのものを辞める」
と考えないことです。
介護と両立しやすい働き方へ変える方法もあります。
退職を決める前のチェックリスト
最後に、次の項目を確認してみてください。
退職を考える場合は、介護の負担だけでなく、退職後の家計も具体的に確認しておきましょう。
毎月の生活費、住宅費、介護費、保険料などを書き出し、退職後に収入がどのくらい減るのかを確認します。あわせて、健康保険や年金、住民税などの負担がどう変わるかも確認しておくと安心です。
失業給付や各種制度は条件によって利用できる内容が異なるため、「退職すれば必ず受け取れる」と考えず、勤務先やハローワーク、自治体の窓口などで事前に確認しておきましょう。
- 会社に親の介護について相談したか
- 介護休業を利用できるか確認したか
- 介護休暇を確認したか
- 短時間勤務などの制度を確認したか
- ケアマネジャーへ仕事を続けたいと伝えたか
- 介護サービスを増やせないか確認したか
- 家族で介護を分担できないか話したか
- 退職後の収入や生活費を計算したか
一つでも未確認の項目があれば、退職届を出す前に確認してみましょう。
まとめ|退職の前に「使える制度」を確認しよう
親の介護が始まると、仕事との両立が難しく感じることがあります。
しかし、
会社の制度・介護保険サービス・家族の協力
を組み合わせることで、仕事を続けられる場合があります。
特に最初に確認したいのは、
介護休業・介護休暇・勤務時間の調整・介護サービスの見直し
です。
退職は大きな決断です。
「もう辞めるしかない」と考える前に、勤務先、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどへ相談してから判断しましょう。




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