退院前カンファレンスに参加する家族は、本人の希望、家の環境、家族が対応できることと難しいことをメモしておきましょう。当日は説明を聞くだけでなく、「誰が、いつから、何をするか」まで確認することが大切です。
介護の経験がなくても、専門的な知識を準備する必要はありません。「平日の日中は家にいない」「夜のトイレ介助は一人では難しい」など、退院後の暮らしで困りそうなことを具体的に伝えてください。この記事では、準備する内容、質問の例、決定事項を残すメモを紹介します。
退院前カンファレンスとは?家族が参加する目的
退院後の生活を病院と支援者で相談する場
退院前カンファレンスは、退院後に必要な医療や介護、生活上の支援について、本人・家族と病院、地域の支援者が話し合う場です。状態や支援内容に応じて、医師、看護師、リハビリ担当者、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなどが参加します。
家族の役割は、病院では分かりにくい自宅の状況を伝えることです。病院で歩けていても、自宅には段差があったり、トイレまで距離があったりします。家族が不在になる時間も共有すると、生活に合う支援を相談しやすくなります。
東入間地区の入退院連携ガイド(2025年4月第2版・PDF)でも、退院前の話し合いに家族が参加し、ケアマネジャーなどとサービス開始日や引き継ぎを調整する流れが示されています。
日程・参加者・本人の参加は病院に確認する
開催時期、所要時間、参加者は病院や本人の状態によって異なります。案内を受けたら、日時・場所・参加予定者と、家族が持参するものを確認してください。
本人が参加できるか、難しい場合は希望をどう共有するかも相談しましょう。家族の連絡窓口を一人決めておくと、日程調整や確認事項のやり取りをまとめやすくなります。
参加前に家族が準備しておくこと
本人の希望と入院前の暮らしを整理する
「自宅に帰りたい」「できるだけ自分でトイレに行きたい」など、本人の希望を聞き、家族の希望と分けてメモします。言葉で確認しにくい場合は、以前話していた希望や普段の様子を担当者に伝えましょう。
入院前に一人でできていたこと、家族が手伝っていたことも整理します。食事、トイレ、入浴、移動、薬の管理などについて、入院後に何が変わったのかを質問できるようにしておくと役立ちます。
家の段差・トイレ・寝室までの動線を伝える
玄関の段差、寝室とトイレの位置、廊下の幅、浴室の様子など、実際に生活する場所を確認してください。「寝室からトイレへ行く途中に段差がある」といった説明が具体的です。
写真や間取りが必要かは、事前に病院へ確認しましょう。歩行器やベッドなどを用意する場合も、購入を急ぐ前に、自宅で使える大きさや配置を支援者と相談してください。
家族ができること・難しいことを具体的に書く
「家族がいるので大丈夫」では、必要な支援が見えにくくなります。曜日、時間帯、できる動作を分けて伝えましょう。
- 平日の日中は仕事で不在ですが、夕方の服薬確認はできます。
- 週末の買い物はできますが、毎日の食事作りは難しいです。
- 夜間にベッドから立つ介助は、一人では難しいです。
- 遠方に住んでいるため、電話連絡はできますが、急な訪問はできません。
家族同士の分担が曖昧な場合は、会議の前に対応可能なことを確認しておきましょう。引き受けられることと、相談が必要なことを分けておくと伝えやすくなります。
退院前カンファレンスで家族が聞く質問
食事・排せつ・移動で必要な介助は何か
「介助が必要です」と説明されたら、どの場面で、どこまで手伝うのかを聞きます。家族が行う予定の介助は、可能なら退院前に実際の方法を教えてもらいましょう。
| 確認する場面 | 質問の例 |
|---|---|
| 食事 | 食事の形や姿勢で注意することはありますか。家族は何を手伝いますか。 |
| トイレ | 一人で行けますか。昼と夜で必要な介助は違いますか。 |
| 移動 | ベッドから立つとき、歩くときにどんな支えが必要ですか。 |
| 入浴 | 自宅での入浴に必要な介助や注意点はありますか。 |
食事の形態や介助方法は、本人の状態に応じて医療職へ確認してください。説明を聞いて難しそうだと感じたら、その場で伝え、別の方法や支援を相談します。
薬・通院・体調変化への対応を確認する
退院時の薬は、入院前と変わることがあります。「どの薬を、いつ、誰が管理するか」「以前の薬をどう扱うか」を確認しましょう。家族が自己判断で薬を追加したり、中止したりしないよう、分からない点を担当者に聞いてください。
通院先と次回の受診日、通院手段も確認します。体調変化については、「どんな変化があれば連絡するか」「どこへ連絡するか」「夜間・休日はどうするか」を、本人の状態に合わせて教えてもらいましょう。
深谷寄居医師会の「退院前カンファレンスの進め方」(PDF)にも、病状の注意点、受診のタイミング、本人・家族の心配事を確認する項目があります。電話番号だけでなく、連絡する目安もメモすることが大切です。
介護サービス・福祉用具はいつから使えるか
必要と説明された支援が、帰宅した日から使えるとは限りません。サービス名だけでなく、開始予定日と、開始までの間をどう過ごすかを聞いてください。
- 訪問介護や訪問看護は、いつから、どの時間帯に利用する予定ですか。
- ベッドや歩行器などは、誰が手配し、いつ届きますか。
- 費用の見込みと、家族が行う手続きは何ですか。
- 要介護認定の結果がまだ出ていない場合、誰に利用方法を相談しますか。
認定を待っている場合は、病院の退院支援担当者やケアマネジャーなどへ現状を伝えましょう。介護認定前でも使えるサービスと確認することも整理の参考になりますが、実際の利用条件や費用は個別に確認してください。
退院当日の移動と帰宅後の支援を決める
退院する時間、迎えに行く人、移動手段、玄関から室内へ入る方法を確認します。自家用車で移動できるか、乗り降りにどんな介助が必要かも聞きましょう。
帰宅後の最初の食事、薬、トイレ、就寝までを想像すると、準備の抜けに気づきやすくなります。「用具が届く前に帰宅する」「初回の訪問まで家族が不在になる」などの空白があれば、会議の中で相談してください。
話し合いの内容を残す確認メモ
説明を聞きながら、決まったことと未定のことを分けて記録します。次の表は、家庭で使うために作成した架空の記入例です。実際の担当者や期限は、話し合いで確認して記入してください。
| 確認すること | 決まった内容 | 担当・連絡先 | 開始日・期限 | 未決事項 |
|---|---|---|---|---|
| 退院日の移動 | 娘が付き添う | 娘/病棟担当者 | 退院日 | 移動手段を確認中 |
| 福祉用具 | ベッドの手配を相談する | ケアマネジャー/電話番号を記入 | 退院前に搬入日を確認 | 搬入日時は未定 |
| 薬の管理 | 夕方の服薬確認を家族が行う | 同居家族/病棟担当者 | 退院日から | 日中の管理方法を相談中 |
| 体調変化時の連絡 | 連絡先と目安を教わる | 医療機関/電話番号を記入 | 退院前 | 夜間の連絡先を確認中 |
未決事項は確認する人と期限を決める
「後で確認します」で終わらせず、「誰が確認し、いつまでに、誰へ伝えるか」を決めます。会議の最後に「ベッドの搬入日は、担当者が確認して家族へ連絡するという理解で合っていますか」と読み合わせると、認識の違いを確かめられます。
決定内容は本人と関係する家族で共有する
欠席した家族にも、担当すること、開始日、連絡先を共有します。本人に説明するときは、本人が理解しやすい言葉で「帰宅した日は誰が来るか」など、生活の予定につなげて伝えましょう。内容が変わったら、関係する支援者にも知らせてください。
参加できない・介護の準備が間に合わないとき
欠席が分かったら病院の担当者へ相談する
仕事や距離の都合で参加できないときは、案内を受けた病院の担当者へ早めに連絡します。電話・オンラインで参加できるか、事前メモを渡せるか、会議後に説明を受けられるかを確認してください。対応方法は病院によって異なります。
家族だけで対応できないことは早めに伝える
「サービス開始まで一人になる」「必要な介助を家族ができない」など、準備が間に合わない理由を具体的に伝えます。退院日や支援の調整、別の生活場所などを相談できますが、希望する対応が必ず可能とは限りません。
相談窓口が分からなければ、病棟看護師に退院支援担当者への相談を希望していると伝えましょう。国立病院機構函館医療センターの医療福祉相談案内でも、医療ソーシャルワーカーが退院後の生活などの相談に対応し、入院中は病棟看護師へ声をかける方法が示されています。院内の窓口名は病院に確認してください。
退院前カンファレンスでよくある質問
家族は何人まで参加できますか?
人数や参加方法は病院へ確認してください。複数の家族が参加する場合は、主な連絡担当と、それぞれが聞きたいことを事前に整理しておくと話し合いやすくなります。
ケアマネジャーがまだ決まっていなくても相談できますか?
まだ決まっていないことを病院に伝え、退院支援担当者へ相談してください。親が住む地域の地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口も相談先になります。電話で状況を伝える方法は、地域包括支援センターへの相談の仕方で紹介しています。
「家では介護できない」と伝えてもよいですか?
伝えて大丈夫です。「夜間の介助ができない」「一人暮らしで毎日は通えない」など、難しい理由を具体的に説明してください。本人の希望も共有しながら、家族が続けられる支援の組み合わせや生活場所を相談しましょう。
まとめ|できることと難しいことをメモして参加しよう
退院前カンファレンスは、家族がすべての介護を引き受ける約束をする場ではありません。本人の希望と生活の状況を共有し、退院後の支援を具体的に相談する場です。
まず病院へ日程と相談窓口を確認し、家族が対応できる時間帯と難しい介助を書き出しましょう。当日は、決定事項だけでなく、未決事項の担当と期限を残すと、退院までに何を準備すればよいかが分かります。



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