在宅介護の防災対策|持ち出し品・防災メモ・避難の備え

高齢の母親と家族が防災メモを書き、防災用品を準備するイラスト 家族の介護・在宅介護

在宅介護の防災準備は、本人に必要な介助をメモにする、持ち出し品を分けて用意する、家族の連絡方法を決めることから始めましょう。一般的な防災用品に加えて、薬の情報や排泄用品、食事の配慮など、普段の介護で欠かせないものを整理すると準備しやすくなります。

避難の手助けが必要な場合は、家族だけで抱えず、平時に自治体へ相談することも大切です。この記事では、要介護の家族と自宅で暮らす人に向けて、防災メモの記入例と、用品・連絡・避難先の確認方法を紹介します。

在宅介護の防災メモに、本人の困りごとと支え方を書く

最初に「災害時に、家族以外の人へ何を伝えたいか」を考えてみてください。病名や要介護度だけでは、どのような手助けが必要か伝わりにくいことがあります。移動、食事、排泄、意思の伝え方を、具体的な言葉でまとめましょう。

本人にも話を聞き、普段の介護に関わる人と内容を確認します。詳しい医療情報を自分で判断する必要はありません。治療や医療機器に関する事項は、主治医や訪問看護師などに相談して整理してください。

そのまま使える防災メモの記入例

項目 書くことの例
移動・介助 室内は歩行器を使用。玄関の段差では手助けが必要。外出時の移動方法は担当者と確認する。
食事・水分 普段食べている形態、食物アレルギー、医療者から指示されている制限を記録する。
排泄・身の回り 使っているおむつやパッドの種類、着替えの介助、必要な衛生用品を記録する。
伝え方・安心できること 正面からゆっくり話すと伝わりやすい。眼鏡を使用。本人が落ち着ける声かけを共有する。
薬・医療 薬の情報を確認できる資料の場所、かかりつけ医・薬局の連絡先、機器使用時の相談先を書く。
家族・避難 家族の連絡先、連絡がつかない場合の取り決め、自治体と確認した避難先・支援方法を書く。

この表は記入例です。本人に当てはまる内容へ置き換え、分からない欄は確認する相手を書いておきましょう。電話番号や健康情報を含むメモは、インターネットで公開せず、必要な家族・支援者に限って共有します。

紙のメモを持ち出し袋にも入れ、家族が分かる場所に控えを置くと、スマートフォンだけに頼らず確認できます。薬や介助方法が変わったときには、メモも見直してください。

持ち出し品と、自宅で使う備蓄を分けて準備する

在宅介護では、日頃から使う用品が多くなりがちです。すべてを一つの袋へ詰める前に、避難時に持ち運ぶものと自宅で生活を続ける場合に使うものを分けましょう。持ち出し袋は、実際に運ぶ家族が持てるかも確認します。

本人に合う持ち出し品を選ぶ

  • 本人に合う飲食物と、普段使う食事用具
  • おむつ・尿取りパッド、着替え、タオル、必要な衛生用品
  • 眼鏡、補聴器と予備電池など、意思疎通に必要なもの
  • お薬手帳など薬の情報が分かる資料と、医療者に確認した薬
  • 防災メモ、必要な書類の控え
  • 懐中電灯、携帯電話の充電用品など、家族の基本の防災用品

食べやすさやアレルギー、治療上の制限がある場合は、一般的な非常食をそのまま選ばないようにします。薬は家族の判断で量や服用方法を変えず、災害への備えとして用意する量、保管方法、使い方を主治医・薬剤師に確認してください。

備蓄と停電時の対応も確認する

自宅用の水・食料・介護用品は、普段使うものを少し多めに用意し、使った分を補う方法で管理すると見直しやすくなります。保管場所と期限を家族で共有し、本人の状態が変わったときには内容も見直しましょう。

人工呼吸器など電源が必要な医療機器を使っている場合、停電への備えは個別の確認が必要です。主治医・訪問看護師などに、予備電源、機器の扱い、連絡先、移動が必要になった場合の対応を平時に相談します。家庭での自己流の操作や、一般的な充電用品だけで対応できるという判断は避けてください。

東京都の「要配慮者への支援」では、介護用品の備えや、医療機器の電源確保についての事前相談などを紹介しています。自治体の案内も参考にしながら、本人の生活に合う備えを確認しましょう。

家族の連絡方法と、不在時の役割を決める

普段の主な介護者が家にいるとは限りません。日中・夜間それぞれについて、「誰が本人の状況を確認するか」「誰へ連絡するか」「予定していた人が動けないときはどうするか」を話し合いましょう。

消防庁の「家庭の防災会議」も、家族の役割分担、非常持ち出し品、避難場所・経路、連絡方法などを事前に確認するよう案内しています。

  • 最初に連絡する家族と、連絡がつかない場合の連絡先を決める。
  • 電話が使いにくい場合に備え、災害用伝言サービスなどの使い方を平時に確認する。
  • 離れて暮らす家族には、安否確認や連絡の取りまとめなど、現地へ行かずに担える役割も相談する。
  • 近隣の人へ協力をお願いする場合は、本人の希望と相手の了承を確認し、できる範囲を話し合う。

協力する人自身が避難しなければならない場合もあります。一人の支援だけを前提にせず、代わりの連絡先や、自治体へ相談する事項を残しておきましょう。普段の役割分担から整理したい場合は、親の介護を兄弟姉妹で分担するための話し合い方も参考にしてください。

避難先と支援方法は、災害が起こる前に自治体へ確認する

近さだけで避難先を決めない

避難先は、地震、洪水、土砂災害などの種類と、自宅周辺の危険を踏まえて確認します。自治体のハザードマップで自宅と周辺の状況を調べ、本人の移動方法で通れる経路かも相談しましょう。

内閣府の避難場所に関する案内では、危険から命を守る「指定緊急避難場所」と、被災者が一定期間滞在する「指定避難所」を区別しています。災害の種類によって安全な場所は異なるため、「一番近い施設へ行く」とだけ決めないことが大切です。

個別避難計画や福祉避難所について相談する

自力で避難することが難しい人については、避難の支援方法を一人ひとり整理する「個別避難計画」があります。内閣府の2026年防災白書でも、その取組が紹介されています。対象となる条件や相談方法は自治体へ確認してください。

「福祉避難所」は、特別な配慮が必要な人を受け入れるための避難所です。ただし、要介護であれば誰でも、いつでも直接入れると決まっているわけではありません。内閣府の福祉避難所ガイドライン改定資料では、受入対象者の調整や、個別避難計画等を通じた直接避難の促進が示されています。

自治体には、本人が対象となるか、事前に必要な手続き、避難先、開設・受入状況の確認方法を聞きましょう。支援者の登録や計画の作成だけで、災害時の救助や受け入れが必ず保証されるわけではありません。

相談先が分からない場合は、自治体の防災・福祉担当へ問い合わせます。普段の介護の困りごとも整理したいときは、担当ケアマネジャーや地域包括支援センターにも相談できます。相談時に伝える内容は、地域包括支援センターへ相談する前の準備も参考になります。福祉避難所の受け入れや利用手続きは、自治体の案内を確認してください。

在宅介護の防災でよくある疑問

防災用品は、一度に全部そろえる必要がありますか?

まず本人に欠かせないものと、確認が必要な事項を整理しましょう。家にある用品を確認してから不足分を準備すると、不要な買い足しを避けやすくなります。持ち運べる量かどうかも確認してください。

防災メモはスマートフォンに保存するだけでもよいですか?

電池切れなどで見られない場合も考え、必要な内容を紙でも用意しておくと確認しやすくなります。本人の健康情報を含むため、共有相手と保管場所は家族で決めましょう。

まずは防災メモの空欄を、一つずつ確認しよう

今日の準備は、本人の介助・薬の情報・家族の連絡先を一枚にまとめることから始めてみてください。次に、持ち出し品の場所と運べる量を確かめ、家族が不在のときの連絡方法を話し合いましょう。

避難の支援や医療機器の対応など、家族だけでは決められないことは、メモに「確認する相手」を書き、自治体や医療・介護の担当者へ相談します。本人の希望を聞きながら、日々の介護に合う防災準備を進めていきましょう。

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